目次

はじめに

当文書は、 Netscape Communicator 4.x 時代から延々と続いているパロディ文書、about:mozilla こと「Mozilla 書(The Book of Mozilla)」に書かれている内容を、勝手に解釈してしまえという至極勝手極まりないものである。

about:mozilla とは何か

あなたは今、Netscape Communicator 4.x か Gecko レンダリングエンジンを用いた UA (Mozilla Firefox や SeaMonkey、Mozilla Suite、Netscape 6 以降等)を持っているだろうか? 持っているならば、簡単に Mozilla 書の一部を見ることができる。

about:mozilla 表示例ロケーションバー(アドレス入力欄)に、about:mozilla と入力してみて欲しい。栗色(maroon:#800000)の背景に、斜体文字で記された文書が表示される。この文書こそが、 Mozilla 書である。

また、これまでに組み込まれた全ての Mozilla 書を The Book of Mozilla で閲覧することもできる。

Mozilla 書は、現在4種類存在している。次の表は、Mozilla 書の変遷を採用時期の新しい順に列挙したものである。

章節採用時期
十一章九節 (11:9)Mozilla 1.9 から
七章十五節 (7:15)Mozilla 1.6 から 1.8.x まで
三章三十一節 (3:31)Gecko レンダリングエンジンになってから Mozilla 1.5 まで
十二章十節 (12:10)Classic Mozilla (Netscape Communicator 4.x)

一説によれば、Mozilla 書は新約聖書にあるヨハネ黙示録のパロディであると言われている。パロディ化されているのは、雰囲気や言い回し、単語面のみに留まっているらしい。

次節から、Mozilla 書の原文並びに拙訳を採用時期の新しい順に紹介していく。まずは「十一章九節」からである。

IEabout:mozilla を表示しようとすると、真っ青で何も書かれていないページが表示される。これは IE 開発者のジョークと言われており、「about:mozilla を試すと IE ではフリーズするぞ」、というメッセージを含んだイースターエッグと言われている。Microsoft Windows システムで「青い画面」は不吉の象徴であるのは言うまでもない(Windows XP まで)。

しかしながら、このイースターエッグは IE6 SP1 までのみ有効である。Windows XP SP2 付属の IE6 SP2 では、about:mozilla と入力してもブルースクリーンは表示されない。mozilla という文字がウィンドウに表示されるだけである。試しに他の文字列、例えば「foo」という単語で試したところ、foo という文字がウィンドウに表示された。どうやら「about: に続く文字列をそのまま表示する」ように仕様が変更されたようである。

IE7 では about:mozilla を入力してもエラー画面が表示されるだけで、特に変わった挙動は見せない。

十一章九節

Mammon slept. And the beast reborn spread over the earth and its numbers grew legion. And they proclaimed the times and sacrificed crops unto the fire, with the cunning of foxes. And they built a new world in their own image as promised by the sacred words, and spoke of the beast with their children. Mammon awoke, and lo! it was naught but a follower.

from The Book of Mozilla, 11:9 (10th Edition)

マンモンは眠った。そして、野獣は大地にわたり再生し、数たるや軍団にまで発展した。彼の者達は狡猾なる狐と共に、時が来たと宣言し、すべての作物を炎にくべ贄とした。そして、彼の者達は聖なる言葉による約束通り、自身の想像せし新世界を築き、子らに野獣について語った。マンモンは目覚め、そして見た! 一人の信者もいない大地を。

Mozilla 書 十一章九節(第十版)

十一章九節は Bug 411352 で提案され、チェックインが行われた。Bug 411352 で明らかとなっているが、この章節には次の歴史が含意されているという。

以下、順を追って解説していく。

マンモン

マンモンは「富の神」のことで、物欲の擬人的象徴とされる。「悪徳としての富」という意味もある。"worshipers of Mammon" で「拝金主義者」という意にもなる。つまりマンモンを信奉することは、物欲を信奉することに等価といえる。

Mozilla 書におけるマンモンは、Microsoft 並びに Internet Explorer のことを指し示す。ブラウザ戦争の記憶は、今もなお野獣を愛する者の心に深く沈溺しているのである。

眠った

「MSIE の開発停滞」の意。IE は2001年8月27日のバージョン6公開以来、バージョン7が公開された2006年の10月18日までの実に5年もの間、レンダリング面の機能改良は全く行なわれなかった。

野獣

野獣は Mozilla のことである。Mozilla という語は Mosaic と Gozilla の合成語であり、その姿は緑ないし赤の怪獣としてしばしば登場する。緑の Mozilla は Netscape Navigator 時代のもの、赤い Mozilla は Gecko になってからものである。

Mosaic は、世界で初めて画像を表示可能にした UA であり、Netscape 社の創立者達が開発に関与していたソフトウェアでもある。

1993年1月、イリノイ大学 NCSA の Mark Andreessen は、UNIX 用のグラフィカル UA である「NCSA Mosaic」をリリースした。当時、画像を扱える UA は極めて珍しかったことに加え、軽快に動作したことから瞬く間にユーザ数を増やしたという。

1993年終盤、NCSA Mosaic 開発メンバーの中核要員達は、SGI 社の Jim Clark と共に「Mosaic Communications」という会社を設立しようとした。

ところが、NCSA は「Mosaic」という名を Jim らに使用させなかった。そこで Jim らは「Mosaic」を「Netscape」に変更し、「Netscape Communications」社が創立された。

かくして NCSA と Netscape は仲違いした。Mosaic を打ち負かす強大なる怪獣を作る、という意気込みから Mosaic と Gozilla が合成され、Mozilla というコードネームを与えられた UA が開発されてゆくことになる。

以上の歴史から、野獣は Mozilla そのものを指す隠喩であるといえる。野獣やそれに類する語は、Mozilla 書を通じて Mozilla そのものを表現する。

大地にわたり再生

spread という単語は Spread Firefox の意。Spread Firefox は Firefox のコミュニティーベースマーケティングサイト。様々な形でのマーケティングを実行に移しており、特に本十一章九節にも盛り込まれた「the New York Times 新聞に掲載された Firefox サポータによる広告」は Spread Firefox 主導で実行され、成功した例の一つである。

Mozilla Firefox の意。Mozilla Firefox は Gecko レンダリングエンジンを用いたグラフィカル UA で、Mozilla Foundation が提供する主力ソフトウェアのひとつ。

因みに、Firefox はレッサーパンダの別称である。

時が来た

「the New York Times 誌に掲載された Firefox サポータによる広告」の意。2004年12月16日、the New York Times 誌に Firefox の広告が掲載された。

すべての作物を炎にくべ贄とした

「Firefox サポータによるミステリサークル」の意。ミステリサークルは畑の稲穂を倒すことにより実現された。図案は Firefox ロゴ。 は Firefox ロゴの狐が纏う炎と解釈するのが妥当である。

Google マップにも表示されている。

聖なる言葉

Mozilla 宣言」の意。Mozilla 宣言は Mozilla プロジェクトの行動規範。隠しリンクになっている。

自身の想像せし新世界

「新しくインタラクティブな Web の発達(別名:Web 2.0)」の意。

子らに野獣について語った

about:mozilla ニュースレター」の意。語ったの部分は about:mozilla ニュースレタープロジェクトページへの隠しリンクになっている。

子らという単語には Mozilla の信徒、つまり利用者・開発者の全てが含意されていると思われる。

一人の信者もいない大地を

「テクノロジの革新者から追従者になった MSIE の変化」の意。信者に追従される存在ではなくなった(= 追従する存在となった)IE のことを示している。

IE は6から7の間にあった空白の5年間に他の UA と実装面で決定的なまでの差をつけられており、7においてもレンダリングの仕様準拠や DOM サポートの向上などはいまひとつの状態に終わった。現在、Firefox、Safari、Opera の3者が最新のサポートを競争しあっている状態にある。IE はそれらを追従する存在に成り下がっているのである。

十一章九節

2004年11月9日を指す。この日は、Mozilla Firefox 1.0 のリリース日である。

第十版

Netscape Communications 社は 1998 年、Netscape Navigator のソースコード公開を発表し、同年中にリリースした。それから10年を記念し、この数字はつけられている。

本章節は現時点における最新の Mozilla 書断片である。公式に初めて日の目を見た Firefox 3 系 (Gecko 1.9) は、Gecko の特に描画エンジンに大幅な変更が加えられ、「新生」と呼ぶに相応しい出来栄えとなった。そのタイミングでの Mozilla 書変更は重要である。

また、Microsoft 並びに IE に対する見方についても注目に値する。既に IE などは恐るるに足らず、追従するのではなく「追従させる」存在として生暖い目で見ていることは明白だろう。過去の憎しみは、現在の憐憫に変化したのである。

様々な意味で時代の変化を細かく反映した、良文に仕上がっているといえる。

七章十五節 (7:15)

And so at last the beast fell and the unbelievers rejoiced. But all was not lost, for from the ash rose a great bird. The bird gazed down upon the unbelievers and cast fire and thunder upon them. For the beast had been reborn with its strength renewed, and the followers of Mammon cowered in horror.

from The Book of Mozilla, 7:15

遂に野獣は倒れ、不信仰者は喜んだ。しかし、全てが失われたわけではなく、灰の中から一羽の偉大なる鳥が飛び立った。その鳥は不信仰者を見下ろし、炎と雷を放った。野獣は再生した力とともに復活し、マンモンの信奉者は恐怖におののいた。

Mozilla 書 七章十五節

倒れ

Mozilla Suite はブラウザ、メーラ、チャット等が統合されたパッケージの総称である。Mozilla Suite はサイズ、使用メモリ量などがかなり大きく、これが性能面でのボトルネックとなっていた。

そしてとうとう、Mozilla Suite のリリースはバージョン 1.5 で打ち止め、という案が出されるに至った。これが、Mozilla が倒れた、ということであろうと推測される。

不信仰者は喜んだ

Mozilla に対し敵意を持つ存在を、すなわち Microsoft、IE の熱狂的支持者を不信仰者と表現している。

一羽の偉大なる鳥

「Phoenix」の意。Phoenix は Firefox の旧名称で、「不死鳥」「フェニックス」という意味を持つ。

前述のように、Mozilla Suite の肥大化問題を抱えた mozilla.org は、Mozilla Suite の軽量化を図ることを決定した。

そのひとつが、Mozilla Suite の各コンポーネントを分離する案であった。ひとつのソフトウェアとして統合されていたブラウザ、メーラ、チャットソフト、Web ページビルダなどを別々に分けようとする試みである。

そこで分離・開発されたのが Phoenix だった。Mozilla Suite のブラウザ部だけを取り出し UI の再実装を施した代物で、必要最小限のインタフェイスと機能限定を行なうことで開発、保守、管理をやりやすいものにした。

炎と雷

Firebird と Thunderbird の意。

Firebird は Firefox の旧名称であり、Phoenix の改称である。Phoenix という名称は商用 BIOS の Phoenix と被っていたことから、同 BIOS の開発会社から名称変更の要請があった。そこで mozilla.org は Firebird という名称を、バージョン 0.6 から採用することにした。

Thunderbird は Mozilla Suite のメーラ部を取り出し、UI の再実装を施した代物。

野獣は再生した力とともに復活し

Firebird も Thunderbird も完成品とはいえず、七章十五節が書かれた当時はまだバージョン番号が 0.x、即ちテクノロジプレビュー品であった。本来ならバージョン 1.5 で廃棄される予定だった Mozilla Suite のメンテナンスも、Firebird / Thunderbird の実装が遅れていたために継続が決定される。この継続を「復活」として表現しているものと思われる。

本章節の内容も、今では過去のものである。Firebird も再び改名され、Firefox となった。Mozilla Suite の公式なメンテナンスも 1.8 ベータで終了し、以降は SeaMonkey と呼ばれる外部プロジェクトによりメンテナンスされることになった。

三章三十一節と比べ、具体的なプログラムについての言及が行われているという特徴がある。これは、三章三十一節が執筆された当時と比べ、実装が飛躍的に進んでいたという背景があると思われる。

程よい自慢と皮肉が入り混じった、思わずニヤリとさせられる節に仕上がっている。

三章三十一節 (3:31)

And the beast shall be made legion. Its numbers shall be increased a thousand thousand fold. The din of a million keyboards like unto a great storm shall cover the earth, and the followers of Mammon shall tremble.

from The Book of Mozilla, 3:31 (Red Letter Edition)

そして、野獣は軍団を創りあげるだろう。その数たるや、千の千倍にまで増大するであろう。大嵐の如く凄まじき、百万ものキーボードによる騒音が大地を覆い、マンモンの信奉者は震えあがるだろう。

Mozilla 書 三章三十一節 (記念版)

軍団を創りあげるだろう

軍団は mozilla.org、創りあげるは mozilla.org 設立の意。

本章節は Netscape 社が Netscape Navigator 5.0 のソースコードを公開してからあまり時間の経っていない頃に書かれた。

その数たるや、千の千倍にまで増大するであろう

オープンソース化され、世界中のハッカー達によりハックされる存在となった Mozilla のコード。mozilla.org に参加する軍団員(ハッカー)の数はどんどん増えていくだろうという期待と威圧を込めていると思われる。勿論、威圧すべき対象はあらゆるオープンソース界に対して敵意を表している団体だろう。

似たような文面がヨハネ黙示録にある。

大嵐の如く凄まじき、百万ものキーボードによる騒音が大地を覆い

先の文面を踏まえている。千の千倍は百万。ハッカーの数だけキーボードがあり、それらが一斉にキーを打つことで沸き起こるハックの嵐を表現している。

大地を覆いはハックが全世界的に行われるということを暗示している。世界中の人間が、Mozilla のコードをハックしてくれることを願ったと考えるのが妥当だろう。

記念版

軍団を創りあげたことに対する記念という意味があると思われる。「Red Letter」という語には、「Red Letter Day」という熟語の意があるのではないかと考え、記念という訳語をあてた。「Red Letter Day」は「記念すべき日」という意味である。

七章十五節と比べて、具体的なプログラムについての言及がなく、軍団すなわち組織の創生について書かれているという特徴がある。これは、七章十五節が執筆された未来と比べ、まだ実装がほとんど進んでいなかった背景があると思われる。執筆されたのは Mozilla 1.0 が完成する前だった。

mozilla.org 創設期の節だけあって、これからますます大きくなっていくであろう組織に期待が込められている文面に仕上がっている。

この文書もまた、口当たりはとても良い、程よい皮肉と展望への期待が込められた良節であると言えるだろう。

十二章十節 (12:10)

And the beast shall come forth surrounded by a roiling cloud of vengeance. The house of the unbelievers shall be razed and they shall be scorched to the earth. Their tags shall blink until the end of days.

from The Book of Mozilla, 12:10

そして、野獣は怒れし復讐者の大群に囲まれ前進するだろう。不信心者の家屋は跡形も無く破壊され、奴らは地に焼かれるだろう。彼の者の標は時代の終わりまで輝き続けるだろう。

Mozilla 書 十二章十節

怒れる復讐者の大群

Microsoft の執拗な Netscape 攻撃に対するあてつけの意。本章節執筆当時は、後に「ブラウザ戦争」と呼ばれることになる Netscape / Microsoft 間の UA シェア競争が沈静化しつつある時期であった。それは、IE のシェアが Netscape Communicator のそれを上回っていたからであり、実際 Netscape Communicator 4.x 期には IE のシェアが世界で利用される視覚系 UA の90%にまで到達したという調査結果もあったという。

本章節執筆当時、Microsoft はインターネット = Microsoft という図式を成立させたかったようで、様々な戦略を次々に実行していた。その戦略の一つが、Netscape Communicator を市場から撤退させることであった。

Netscape Communicator はシェアウェアであったが、無料で利用できるバージョンも存在していた。大半の利用者は無料で利用できるバージョン利用していた。視覚系 UA の代名詞は、既に Mosaic から Netscape に変わっていた。

そこで Microsoft は、自社の開発した Internet Explorer を初めから完全無料で市場に投入した。やがて性能向上も行われた。

Microsoft は IE を OS にバンドルすることで、インターネット閲覧 = IE という等式を無理矢理成立させることを目論見、現状成功している。更に OS のシェル機能の中へ IE を統合した。中核システムだから切り離せない、という強引な押し付けを行い、独占禁止法の網目をすり抜けたのである。

これが功を奏してか、IE は瞬く間にシェアを伸ばし、瞬く間に Netscape を駆逐した。Netscape が急成長した企業だとはいえ、本章節執筆当時、デファクトスタンダード化していた OS の大御所が集中砲火を浴びせてきたのである。法廷で争っても時間と金をいたずらに浪費する上に、成果が出るのはずっと後になる。

Netscape 社も最新技術に対する実装やバグフィックスが追いつかず、それなりに金をかけている Microsoft の IE に性能も敵わなくなり、かの悪名高き Netscape Communicator 4.x シリーズの登場と相成った。CSS 実装はバグだらけ、JavaScript も HTML も IE よりいい点が少ないというとんでもない代物により、ユーザは一気に IE へ移行たという。

やがてどうしようもなくなった Netscape 社は、論文「伽藍とバザール」に触発されて Classic Mozilla (Netscape Navigator 5.0)のソースコードを公開するに至る。

怒れる理由、復讐者である理由は、この歴史的背景から明らかである。自社の製品を完膚なきまでに潰され、怒りの吐き出しどころが無い Netscape の社員がこの文書を埋め込んだことは、容易に想像できる。

不信心者の家屋は跡形も無く破壊され

どう考えても Microsoft に対するものである。怒れる復讐者の大群で説明したとおり、それが最上級の望みだったのかもしれない。

奴らは地に焼かれるだろう。

ここでの奴ら不信心者即ち Microsoft の意。

彼の者の標は時代の終わりまで輝き続けるだろう。

ここでの彼の者は、復讐者即ち Netscape に同調する者の意。

tag 即ち HTML タグ(要素)の意。輝きblink 即ち Netscape 社が独自拡張仕様として実装した blink 要素の意。

blink 要素は IE が独自拡張仕様として実装した marquee 要素と並んで知られている。この要素は文字列を一定間隔で消去・出現させる視覚効果を付与する物理要素で、現時点における W3C の全 HTML/XHTML 勧告、並びに ISO の HTML 仕様書には定義されていないものであり、使用は推奨されない。

この文面は、blink 要素によるマークアップが行われた HTML 文書が時代の終わりまで輝き続ける――IE はこれを実装していないため、IE が存在しなくなり、Netscape Navigator だけがインターネット時代の終わりまでその輝きを現実のものにし続けるという意味が込められていると考えられる。

本章節は Netscape Communicator 4.x 時代の代物である。今見れば、随所に散りばめられた文句も陳腐であることが窺える。Microsoft に対する敵意にしても、後の mozilla.org はそれを真剣なものではなく、一種の皮肉として Mozilla 書に反映させている。「IE 以外の選択肢を提供する」というモットーに則り、あくまでも良いものを造り出そうとする職人達の集団は、ただユーザの拡大を目的とするものではない大らかさを持ち合わせるようになった。本章節はそうした意味でも時代遅れといえる。

結局のところ、違法であるとして法的に罰せられない限り、Microsoft の行為は「戦略」に過ぎない。むしろ、それに対してそういう反応しかできない一人の社員としての哀しさが感じられる文面といえる。

Netscape Navigator 4.x 時代の現実が、この文書には詰まっている。

あとがき

いかがだったろう。about:mozilla は一種のパロディ文書であり、イースターエッグの一つでもあるが、その時代時代の Mozilla を取り巻く環境をよく表していて、とても面白いものに仕上がっている。

about:mozilla は我々に、色々なことを教えてくれる。純然たる怒り、思わずニヤリとする皮肉、黒歴史。その全てが時代の遺産であり、忘れ去ってはならないものだ。

Mozilla よ、永遠に怪獣たれ。

参考文献

当文書を執筆するうえで参考にした文献。

更新履歴

Version 2.0 (2008-02-10)
  • 十一章九節追加
  • 文体変更
  • 加筆修正
Version 1.7 (2007-02-14)
  • 加筆修正
Version 1.6 (2006-05-14)
  • タイトルを「Mozilla 書 勝手に解釈」から「about:mozilla 勝手に解釈」に変更
  • 加筆修正
  • 文書校正
Version 1.5 (2005-03-29)
  • 内容を少々改訂
Version 1.4 (2004-12-17)
  • 内容を少々改訂
Version 1.3 (2004-10-10)
  • Mozilla という名称の由来についての文面を追加
  • 引用文に出典を追加
Version 1.2 (2004-08-10)
  • 誤字訂正
  • about:mozilla のキャプチャショットを追加(Mozilla Firefox 0.9.2 (Gecko/20040707) の 7:15)
Version 1.1 (2004-04-05)
  • 誤字訂正
  • blink 要素に対する簡単な解説を追記
Version 1.0 (2004-04-05)